No.11 
蠱惑の森の邸に萩尾九段がやってきた。招いた覚えのない客に、ダリウスはルードハーネ共々戸惑う。九段は手土産と、あるささやかな報せをたずさえていた。
7,600 jacket:https://www.pixiv.net/artworks/41763239

スプリング・ハズ・カム


 立ち上がって、伸びをひとつ。
 ダリウスは、成果を満足げに見渡した。
 今日行ったのは、庭に穴を掘り寒肥をやって埋め戻すという作業だった。一見大きな変化は見られないが、大切な仕事である。冬の間に与えるこの肥料が、春の生長に生きてくるのだ。
 ダリウスにとって、庭の手入れは日課だった。毎日、新しい発見や感動がある。
 霜に凍えながらも咲く花々は健気だ。時季を外れて花は咲かずとも、その葉の形を愛でる。木々の枝は、剪定するのがもったいないほど力強く張っている。
 もう少ししたら、球根の植え付けを行おう。庭をキャンパスに見立て、絵を描くように花の種類や色の配置を考えるのも、予想外のところから思わぬ芽が出るのも、また楽しい。

 土で汚れた手袋とエプロンを外し、庭仕事用の小屋の中に掛けておく。一度引き返し、鳥や動物たち用に設けた青花の器の水飲み場を借りて手を洗うと、ダリウスは裏口から屋敷の中へと戻った。
 奥向きの部屋を抜けリビングへと至る。
 そこでは、有能な従者が時間を見計らった上で、あたたかいお茶の準備をしておいてくれるのが常だった。
「……ダリウス様」
 ルードが、困ったように振り返る。
 紅茶はすでにカップに注がれていた。ルードによって給仕されているのは、形の良い後頭部と、すらりと伸びた和服の背中の持ち主だ。
「……萩尾九段」
 思わぬ人物の存在に、ダリウスは思わずその名を呟く。

 神子と勇士の活躍によって、邪神・禍津迦具土神は倒された。ダリウスが願った通り、終焉の予言の成就は回避されたのだ。
 帝国軍上層部による策謀は白日の元にさらされ、国内から強い批判をあびている。彼らを裁く法が存在しないため落としどころが難しいが、整備途中である新法には織り込まれるだろう。
 鬼の一族に着せられていた汚名はそそがれつつある。帝国軍元精鋭分隊の有馬一や片霧秋兵、今や一党首となった里谷村雨、財界だけでなく宮家まで顔が利くという九段が手を尽くしてくれているお陰だ。
 ゆっくりと、だが着実に。そのあたりの働きは、ダリウスは彼らを信用して一任している。
 性急にことを運びすぎると、いままであった鬼の一族に対する畏怖や忌避感が勢いで裏返らないとも限らない、逆に反発だって起こるだろう、というのが村雨の指摘だった。
「過ぎた好意や敬意の眼差しで見られるってのも、本意ではないだろう。
 まあおたくが、この国の、政の長として立ちたいって言うんなら話は別だが」
「まさか。俺には、鬼の一族の長としての責務で手一杯だよ――よろしく頼む、村雨」
「……ん」

 ――いずれ、解き放つときがやって来る。
 その日を待って、蠱惑の森の結界は以前のままにしてあった。
 ダリウスは意識を集中して、蠱惑の森の隅々を探る。
 侵入者の気配はなかった。結界が破られた痕跡もどこにもない。
 それなのに、なぜか九段はここに居る。

「九段をもてなしてくれていたんだね、ルード」
「玄関に、立っていらして……申し訳ありません」
 いや、十分よくやってくれたという意味を込めて、ダリウスは従者に軽く微笑んだ。

「町で嬉しいことを耳にしたので、その足で連絡もなしに来てしまった」
 九段は、そんな主従の疑念に満ちた眼差しに気付くそぶりもない。にこにこと「手土産もあるぞ!」とここまで風呂敷に包まれてきたらしい、厚紙がたわむ箱の山を示して見せる。
「大判焼きだ。冷めても美味だが、やはり温かいうちに味わってみてほしい。
 ……はっ!? 今さらだが、ぬしたち、餡は好きか?」
「そんなことより。九段、この森の入口には、結界があったと思うのだけれど」
 結界? と九段は首をかしげる。
「夢中で駆けてきたので気付かなかった。無意識のうちに解いてしまったのかもしれぬ、すまない」
「そんなはずな――」 
「凌雲閣でぬしたちが結界を張るところを間近で見たからな」
「……それだけで、ですか!?」
 ルードが愕然として声をあげる。地下に閉じ込められ、上からは瓦礫が降り続ける。あのような危機的状況下にも関わらず、見ただけで形式の異なる術の仕組みを理解し、解いたというのか。破るのではなく自然に通る、そんな真似ができるというのか。
「おそらく、九段は歴代の《星の一族》の中でも、傑出した才の持ち主なんだろう……ふふ、敵に回さないでよかったよ」
「面と向かって誉められると、なにやら照れるな」
 ダリウスの自虐と嫌味まじりの言葉にも九段は動じずに、ぽぽと頬を赤らめる始末。何事かを言いかけたルードは、諦めて口をつぐんだままにした。賢明だ、と鬼の首領は思う。こういうのを、暖簾に腕押し、糠に釘、と言うのだろう。あいにく邸には、暖簾も糠もないけれど。
 ダリウスは、九段の座る正面の椅子を引いた。
「その話とやらを、聞かせてもらおうか」

   ※

 その夜、社務所では襖を取り払ってできた広間で、氏子代表による寄り合いが行われていた。
 議題は、来る節分の儀について。
 帝都東京は、大きな災厄に見舞われ立ち直ろうとしている最中だ。職を失ったり、家財を焼かれたり、あるいはその両方と、懐事情はどこも大変厳しい。だからこそ、こういう祭事は盛大に行うべきだということで、場の意見は一致した。
 ここで酒宴に雪崩れ込むのが、普段の流れなのだが。
「ただ、なぁ」
 腕組みをして一人の男がうなった。
「『鬼は外、福は内』っていうあの掛け声は、当節このままでいいのかねぇ」
 俺も気になってはいたんだよ、と何人かが身を乗り出す。
「神子様と精鋭分隊と一緒に、帝都を守るため戦ってくれたんだろ――《鬼の一族》は」
「帝国軍は信用ならんが精鋭分隊は別だね! 有馬隊長殿もそう証言してるしな。いや、今は元がつくのか」
「新聞で読んだよ。濡れ衣だったんだって? まったくひどい話じゃないか」
「実際その目で見た奴もいるらしい。金の髪は遠目からでも目立つからな」
「おいおい、気を回しすぎじゃないか?」
 そう苦笑する者もいる。
「鬼から物言いがあったわけでもあるまいし」
「そうなった時に改めたらどうかね」
「今まで守ってきた伝統を簡単に変えてしまっていいものか」
「そうだそうだ!」
「世の中には『鬼は外』とうたわない寺社もあるそうじゃないか」
「そこは元々鬼を祀ってるからだよ」
「そういや渡辺さんは豆をまかないな」
「そりゃ初耳」
「節分の元となったのは、昔宮中で行われていた追儺という儀式だよ。
 当時は、迷信がはびこっていてね。災害や病、飢饉などの厄は鬼の仕業と考えられていた。わざわざ鬼の役を立て、桃の弓矢で射って追い出したのさ。馬鹿馬鹿しいが、当時の人々は本気で儀式を行っていただろう」
 取り留めのない話となってきたのを滔々とした語りでさえぎったのは、ある若い男だ。大学を出て小商いの主におさまっている変わり者だが、その分一目置かれている。一同は黙って彼の弁を拝聴する形になった。
「しかし、今は大正時代だ。病気はウイルスによって罹るもの、災害は地球のエネルギイが何らかの形で衝突しあうことで発生するもの、飢饉は主に社会システムの不備によるものと、皆が知っている」
「お、おう……」
「知っていてなお、我々が節分に豆を投げることをやめないのは、鬼が厄の見立てだと分かっているからだ。
 いいかい、この《鬼》と《鬼の一族》は違う。《鬼の一族》は災害や病や飢饉を招かない――と今回ハッキリと分かっただろう? 別ものなんだ。別ものに対してくちばしをアレコレ挟むのはおかしい。あちらだって、分かっているさ」
 だからやめる必要はまったくないと思うね、という締めにのまれた何人かが意見を翻して頷く。
 ではそろそろこの辺で、と酒瓶を取りに腰を上げようとしたところを引き止めたのは、「――俺ぁ、難しいことはよく分からん!」という心からの声だった。
「よっ、はじめちゃん! 正直者!」
 へへと頭をかいた男は、胡坐のまま前のめりになった。
「ご紹介にあずかりまして。えー、皆も知っての通り、俺の名前は一よ。線を横に一本引くだけのお手軽さ。生まれた時からこの名前で、この男ぶり。うちの八百屋に来るお客さんにも、カボチャに似てると評判よ。間違って買われて煮物にされそうになったこともあらあ!」
 場がどっと沸く。
「そんな俺だがな、ここ数年、更にモテに磨きが掛かってな。
 精悍で仕事熱心で寡黙で男前でって。いや、本当だって――同じ名前の有馬隊長のことだけどな。
 縁があると思われているのか、みな隊長の話をアレコレ聞かせてくれるわけよ。こういう活躍をしてましたよ、と。キラキラした目で、そうして褒めてくれる。まぁ、嬉しいわな。まったく赤の他人事だけど。ま、ちょっと売り上げは伸びた」
 笑いの波が引いたところで男は、「俺はね、」と続ける。
「逆に、有馬隊長がどうしようもない男だったらと考えてみた。飲むは買うは打つは――」
「そいつはひどい」
「想像が難しい」
「俺と有馬隊長は別人だ。分かってる。月とスッポン。おっと、どっちがどっちなんて野暮なことはきいてくれるなよ。
 そんな有馬隊長の《悪評》が、お前も一だろうがって俺の元に届く訳だ。正直、」
 いい気はしないだろうな、と八百屋の主は唐突に話を切った。

 ここもまた神域。しんと冷えた空気は、各々が考え事をするのに適していた。
 何を一番大切にするのか、自分なら何を選ぶか、自分がその立場ならどう感じるか。
 視点が変われば、見える景色もまた変わる。
 やがて、おずおずと手が上がった。
「では、こうするのはどうだろう――」

   ※

 ある神社とその周辺では、今年は節分の掛け声を「福は内」とだけ唱えることにしたらしい――
 九段の話を聞いたダリウスの感想は、「……それで?」だった。そうとしか言いようがない。
 節分の日に行われていることは知っている。もちろんその際の掛け声も。
 しかし、ダリウスは節分の《鬼》と自分たち一族を同じ存在としてとらえたことはなかった。あれは別物。考えるのも馬鹿馬鹿しい。豆をぶつけられたところで痛くも痒くもないし、柊や鰯の頭を苦手だと感じたこともない。金棒? 用途は何? 随分大仰で使い勝手が悪そうだけれど。
 一族の誰に聞いても、同じ意見のはずだ。愉快ではないが、取り立てて不愉快でもない。別に気にしてはこなかった。
「それが、そんなことが一体なんだと言うのですか?」
「うむ、それだけだ」
 冷たい反応に動じず、九段はきっぱりと言い切る。
「確かに、何の解決もしていないな。
 だが、誰かにそうせよと命じられたからではなく、帝都の、市井の人々が、自ら考えて選んだのはこれがはじめてのことではなかろうか」
 ダリウスははっと目をみはる。
《鬼の一族》と同じように《星の一族》にもまた、人の世の表には残らない長い歴史が伝わってきているはずだった。
 鬼と人。千年以上にも及ぶ、脈々と連なる血筋。個として時に交わることはあれど、両者の間で争いが起こり血が流れたことは幾度もある。そのことを踏まえて、九段は言っている。
「今回の選択によって、これから何がどう変わるのかは誰にも、我にも分からぬ。結局、何も変わらないかもしれない。
 だが、今まで当たり前のこととして受け入れてきた事柄を、立ち止まり改めて考え直そうと、そういう流れが皆の中に出来たことこそが、」
 我は嬉しかったのだ、と九段は笑った。
「誰かに伝えたくてこうして駆けてきてしまった。許せ」

「せっかくの九段のおすすめだから、俺たちもいただこうかな。ルード、俺にもお茶を」
「はい、ただいま!」
 厨房へと猫のような軽い足取りで移動する従者を見送ると、ダリウスは言った。
「……ありがとう」
「礼にはまだ早いぞ。じっくり味わってからにしてもらおうか」
「それもそうだね」

   ※

 四つになる彼女の息子は、おしゃべりが好きだ。まわりとくらべて言葉が遅い子どもだっただけに、話しはじめた最初のうちは、彼女はとても喜んだものだった。何を言っても笑い、どんな些細なことでもあいづちを打った。
 思えばそれが悪かったのか。今では寝ているときと食べているとき以外は、ずっとしゃべっているんじゃないかという勢いだ。加えて最近は、目にうつるものを片っぱしから指差して、なぜどうしてと問うことがはじまった。
 なぜ空は青いのか、どうしてお腹がすくと腹の虫がなくのか、誰が一年は月が十二と決めたのか、どうして……。
「末は博士かな」と相手をしてくれていた近所の隠居も、さすがに辟易したのか道端で出会った途端に尻をまくって逃げ出す始末。申し訳ないという気持ちの反面、健脚っぷりを思い出すとにやりとしてしまう。まだまだお元気そうで何よりだ。

 さて、今日は節分の日。近くの神社では、毎年境内で盛大に豆をまく。沿道には屋台がずらりと並ぶ。ただでさえ多い人出と呼び込みの声とで、大層にぎやかな場だった。
「いいかい、人がたくさんいるからね。はぐれないように手を離すんじゃないよ。
 あと、大人しくしていること!」
 彼女は息子に重々言って聞かせる。うんわかった! と返事はいいのだ。抱き上げているのが最善だと分かっていても、息子の目方が増えてきたためそうも言ってられないのが実状だった。
 最初のうち、屋台を回っている間はよかった。そろそろ刻限だねと、彼女はしっかりと手を握り直し、人のごった返す境内に足を踏み入れる。じりじりと前に進むうち、買い与えた飴をすっかり食べ終えて、退屈する息子――予想よりはやい!――の、いつものなぜどうしてがはじまってしまう。

「なあなあ母ちゃん」
「何だい?」
「去年までは豆をまくときには『鬼は外、福は内』だっただろう?
 どうして? 鬼はどこへ行っちまったんだ?」

 よりにもよって、一番聞かれたくない質問だ!
 子どもの高い声はよく通る。彼女はそっと、周囲をうかがった。

 ほんの一週間ほど前だろうか。「今年の節分の儀に際して」という長ったらしい文章が、隣近所に回覧で回ってきたのは。
 彼女はそれをほとんど読んでいない。わざわざ小難しい言い回しの文章を読まずとも、大まかなところは持ってきた者から口で伝えてもらえるのだ。

 ――今年の節分はさ、このあたり一帯、いつもの「鬼は外」は禁止だって。
 ――秋口にほら、大変なことがあっただろう? 鬼の人たちには、随分世話になったそうじゃないか。
 ――本当に、ありがたいことだ。だから、それを慮ってのことらしいよ。
 ――とりあえず、今年はね。

 去年の九月一日のことは、まるで昨日のことのように覚えている。
 彼女は自分と子どもを守ることだけで精一杯だった。それだけしかできなかった。それも、我が子が偶々手の届く場所にいたからこそだ。
 これが家の外と内に分かれていたら、まず自分の身を守ることだけで精一杯だっただろう。そういう人は、帝都に五万といるはずだった。
 立派で人様の役に立つことは、素晴らしいことだと思う。ほめられて、感謝されるのも当然だ。
 でも、だからいわゆるこちら側のものとして認める、認めてやるというのもまた、彼女には違うように思うのだ。だったら、何もできなかった者は? ということになりはしないか。
 役に立とうが立たまいが、立派であろうがなかろうが、ただそのあり方を認める、それでいいではないか。
 自分の中でもうまく整理がついていないのだ。さらにそれを、子どもにも分かるよう伝えるのは不可能に近い。それが、彼女には歯がゆい。
 しかし、鬼の一族に対して、何か含むところがあると勘ぐられるのも困るのだ。そんな気持ちは誓ってないが、ここでは誰に聞かれているか分からず、面倒なことになりかねない。
 結果、すまないと内心謝りながら「……だまって、自分で考えな!」と、ぽんと放り投げる羽目になった。

 母親からきつい言葉を投げつけられ、うぅっと黙り込み――ややあって息子は、「わかった!」と声を張り上げる。

「福を二回繰り返すのは、そのほうが倍、福を呼べるからだろう?
 ちがうか?」

 自信満々の言いぐさに、それまで他人を決め込んでいた周囲がどっと沸いた。はき出された息のかたまりが、ぶわりと一瞬、周囲を白く染める。
 彼女が答える前に「違わないさ」と誰かの声が言った。

「はは、倍」「倍々」「確かに」「そいつは結構」「そいつは道理」「なかなかうまいことを言う」「倍」「二倍だってよ」「何だって?」「福を二回で福が二倍」「あら、お得」「ははぁ、のった!」「ほぅ…」「福がね」「なるほど」「いや、そこの坊やがさ」「坊」「良い考えだ」「あたしは好きだね」「福に」「俺もならおう」「おやおや」「良」「縁起を担ぐとするか」「こっちもだ」「へぇー」「縁起が」「倍ね」「いいことを聞いた」「福」「たくさん招かないと」「ええ、そりゃもちろん」「負けてられねぇや」「福をさ」「おうとも!」「誰が言い出したんだか」「二回」「いいかい、福を二回だよ」「ふくってなに」「勝ち負けじゃないけどさ」「こればっかりは、いくらあってもいいもんだよ」「幸せのことさね」「さあさあ」「……これで、見出しは決まったな」「はい、先輩」「そうだ」「福を二回!」

「何してるんだい、坊や」
「……ふーってやるけどなにも出ない。どうやったら、さっきみたいにたくさん白い息が出るんだ?」
 それなら簡単だ、と彼女は息子を抱き上げた。
「大きな口を開けて――笑うのさ!」


 やがて宮司が登場する。冠に袍、笏を持った正装だ。その隣に立つのは年男に年女。年男は今まさに働き盛りといった風体。年女はきらびやかな振り袖がまぶしい。その手には、炒った豆が入った五合枡がある。
 さあ、待ちに待ったその時間。年男は遠くへ届くよう、腕を振りかぶる。年女は控えめに、だが大きく振り袖が舞う。
 ひゅんひゅんばらばら、人々の上に豆が降る。

「福はぁー内! 福はぁー内!」

 晴れ渡った空の下、揃った声が境内に響いた。




   ※


 節分の夜に蓬莱の鬼がやってきて、女を口説きます。女は妻になると約束し、鬼から宝物(隠れ笠・隠れ蓑・打出の小槌)を取り上げた挙げ句、豆を投げて鬼を追い払うのです。
 その際の文句「鬼は外、福は内」が聞けるのは、現代ではこの狂言内のみとなっています。

   ――「はじめての狂言」高地葵・編 『節分』

fin

ダリウスのしあわせについて考えた一作でした。作中の神社に特定のモデルはありません。描写はふわっと適当です。ご了承ください(なお、鬼を祀っている寺社は実際に存在します)。
以下は、元ネタとなった自ツイート。

2018.02.28
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